私が中学生の時のことです。
夏休みの終わり頃、白い服を着た女の子が頻繁に家の中に現れるようになったのです。
それも昼夜問わず、私が一人の時にばかり現れるのです。
怖くて母に話したのですが、相手にしてもらえませんでした。
その後も多い時は週に何度も現れるようになり、恐怖も限界になったので再び母に泣きつくと、
「お前には4歳年下の妹が居るはずだったのだけど、流産してしまったんだよ。
だからお前の所に来ているのは、きっとその妹になるはずだった子だろう。
わざわざ会いに来てくれているのだから、怖がらないであげなさい」
このようなことを言われました。
それを聞いて中学生の私は妙に納得してしまい、
『生まれることが出来なかった妹が、私のところに遊びに来てくれたんだなあ』
と考えたら、妙に嬉しかったのを憶えています。
※
それからは、その女の子が現れても恐怖を感じることもなく、
『気が済むまで遊んで行きなよ』
と思いながら、その女の子を出現するに任せていました。
すると、そのうちに段々と現れる回数が減って行き、とうとう現れたくなったので、
『ああ、気が済んで成仏したんだろうな』
と思って安心していたのですが…。
※
去年の暮れ、久しぶりに年末年始を実家で過ごそうかと里帰りした時のことです。
ふと思い出してそのことを話題に出したら、母は
「何、それ? あはは!やだ、あなた、本気にしてたの?」
と言うのです。
何でも、あまりにも私が怯えて鬱陶しかったので、口から出任せを言ったのだとか。
ちょっと待て!
やだ、じゃないよ!
洒落になってない!
それでは当時、頻繁に部屋に来ていた白い服の女の子は一体、何だったの!
その正体は結局判らないのですが、そのうちまた現れるのではないかと思うとほんのり恐いです。