今から八年前の五月に体験した話。
当時は大学の寮に住んでいたのだけど、その寮は凄かった。
古戦場の近くで、その霊を供養するお寺が近所にあり、更に寮の隣の竹林には首塚があった。
俺の部屋の真下の部屋では首吊り自殺が起きた。
だから霊感の少しでもある者は、入居どころか近寄りもしない。
寮の住人は霊感が無いどころか、寮に入るまで金縛りにも遭ったこともない。
しかし入寮して大抵、2、3ヶ月以内には面白い体験をする。
その年の新入生で、俺の部屋の廊下を挟んで向かいの部屋に入って来たのがAだった。
その部屋は窓から竹林が見え、寮の中でも一番面白い体験のできる部屋だったのだが、
Aは全く気にしていないようだった。
※
ゴールデンウィーク中に、寮の暇な連中が集まって麻雀をすることになった。その中にAも居た。
麻雀を打ちながら、寮で起こる不思議な現象についての話になった。
俺「A、お前そろそろ体験したんか?」
A「少しだけっすね」
俺「お前が来る以前にあの部屋におった先輩は、
『窓開けて寝てたら竹林から生首が飛んで来た』って言っとったぞ」
A「飛んで来ましたよ」
俺「!!…で、どうした」
A「別にどうも。
何か金縛りとかになってむかついたんで、
『殺れるもんなら殺ってみろ』て思ってたら消えました」
俺「…」
※
と、ここまでで話が終われば笑い話になったのだけど…。
Aは五月の後半に交通事故を起こし、首の骨を骨折して四日間の昏睡状態の末、亡くなりました。
その後もこの寮では色々なことが起こりました。
ほんのりと恐かったです。