土曜日のこと、あるイベントで地下1階の一室に数人と談笑していました。
部屋の隅に放置されていた新聞紙が、突如としてガサゴソと音を立てたのです。
その瞬間、新聞紙の周囲には誰もいなかったため、我々は異様な雰囲気に包まれました。
後になって知ったのですが、その部屋はかつてペットの飼料を研究する実験室であり、多くの鶏が飼育されていたとのこと。
友人の一人は、「昔の鶏がいたずらをしたのだろう」と不思議なほどあっさりと納得していました。
その友人の納得の仕方に、ほのかな不安を覚えました。
同じ土曜日の夜、長い間不調だった私の体調が回復し始めたのが、親友が体調を崩し始めた時期と同じだという話題になりました。
私に憑いていたものが移行したのではないかと、半ば冗談交じりに語り合いました。
そして、軽い気持ちで親友の肩を叩き、「悪いものを渡してしまってごめんな、返してあげるよ」と言ったその瞬間、左肩に異様な感触が走りました。
それは、肌を這うような嫌な汗を誘うものでした。
その後、親友の家へ向かう途中でした。よく歩いたはずの道に、不穏な雰囲気を感じ、心地悪さを抱えていました。
道中、マンションの前で白い上衣とチノパンを着た男性が立っているのを見かけました。
「なぜ路上にぽつんと立っているのだろう」と不思議に思い、振り返った瞬間にはその人影は消えていました。
その時、身体を貫くような冷たい寒気を感じ、必死にお守りを握りしめました。
その不穏な道を抜けたとたん、嫌な感じは消え去りましたが、その怖さは深く心に残りました。