この話は7年前の出来事です。
当時、インターネットはまだ普及しておらず、私はパソコン通信を利用していました。
クローズドの掲示板のような場所で仲良くなった人たちと、オフラインでも会って親しく付き合っていました。
その中の一人が突然亡くなったのです。
最初は悪い冗談だと思いましたが、家族との連絡でその死が本当だと知りました。
彼の死は突然の事故で、葬儀は内輪で行われました。
家族はパニック状態で、私たちには焼香も遠慮してほしいと言われました。
私たちは、いずれ悼む会を開くことにして、それぞれが悲しみを抱えていました。
数日後、亡くなったはずの彼からメールが届きました。
彼は「元気?俺は今、あの世にいるよ。ここも案外いいところだよ」と書いていました。
他の仲間にも同じメールが届いていることがわかり、すぐに理解しました。
これは彼が予め設定した、自動送信サービスによるメールでした。
そして、これは彼が自らの意志で死を選んだことを意味していました。
私はこの事実に悲しみとともに、彼を許せない気持ちになり、次第に仲間から離れていきました。
インターネットを始めてからはパソコン通信をほとんどしなくなりましたが、ID(メールアドレス)は残しておきました。
彼からまたメールが来るのではないかという期待があったからです。
しかし、そんなことはありませんでした。
※
この出来事の後、私は彼との思い出を整理するため、彼がよく訪れていた場所を訪れました。
そこで、彼が生前書いたと思われる日記のようなメモを見つけました。
そのメモには、彼の心の葛藤や、私たちに向けた未送信のメッセージが記されていました。
彼は最後に私たちに伝えたかった言葉を、メールではなく、このメモに託していたのです。
そのメモを読んで、私は彼に対する怒りや悲しみを乗り越えることができました。
そして、彼が亡くなった後も、彼との繋がりを感じ続けています。