不思議な体験や洒落にならない怖い話まとめ – ミステリー

赤い服の女の子

市松人形

以前に書き込みした者ですが、もう一つ、二十年程前の話をします。

私はオカルト掲示板でもお馴染みの、例の生き人形の生放送を見ました。

スタジオがパニックになったなど詳細は覚えていませんが、人形の顔などは今でもはっきり脳裏に焼き付いています。

その当時、私は小学校高学年で、妹は低学年でした。

親は留守にしていて、二人でその番組を見てしまったのです。

とにかく怖くて怖くて、私も妹も夜は親と寝るようになった程でした。

恐怖も幾分か薄らいで来たある夜、それは起こりました。

私が眠っていると、真夜中に誰かが物凄い勢いで階段を降りて行きます。

いつもなら足音で誰かは判るのですが、その時は誰が下へ降りて行ったのか全く判りませんでした。

夢うつつで『誰かなー』と考えていると、

「ガタン、ガサガサ、ピシッ。

ガタン、ガサガサ、ピシッ」

階下に居る人物が引き出しを開閉しているようです。

『ああ、お父さんかな』

そう思い、そのまま寝てしまいました。

翌日、親に聞いてみると、そんな事はしていないと言うのです。

特に母親は音に敏感な人で、少しの物音ですぐ目を覚ます性質でしたから、私が寝ぼけていたという事でその話は落ち着いてしまいました。

ところが、その出来事は何度も繰り返し起こったのです。

その度に親に訴えても取り合ってもらえず、逆に怒られる始末です。

私は悔しくて、誰の仕業か絶対突き止めてやると決心しました。

その夜の事、誰かが階段を降りる音で目が覚めました。

いつもと同じ様にガタガタ物音がしています。

少し怖かったのですが、恐怖よりも親に対する怒りの方が強く、私は足音を忍ばせて下へ降りて行きました。

階段の電気はいつも点けっ放しだったので大丈夫でしたが、下は真っ暗でした。

「ガタン、ガサガサ、ピシッ」

暗闇の中で音だけが響き渡ります。

何も見えない闇の中で、一体誰が何をしているというのでしょうか。

確かに誰か居るのですが尋常ではありません。

体が凍り付きましたが、部屋に逃げ帰るとまた親に理不尽に扱われます。

恐怖と闘いながら、意を決して居間の電気を点けました。

そこには赤い服を着たおかっぱ頭の女の子が居ました。

箪笥の引き出しを開け、断固とした態度で何かを探しています。

それは半目を開け、殆ど白目状態の奇妙な目つきをした妹だったのです。

妹は話し掛けても反応が無く、無言で次々に引き出しを開け、取り憑かれたようにただ懸命に何かを探しているのでした。

私は大急ぎで親を起こし、後は親に任せました。

妹は病院で夢遊病だと診断されました。

でも私には、あの人形が妹に乗り移ったとしか思えませんでした。

背格好に髪型、赤い服(実際はパジャマ)、本当にそっくりだったのです。

妹を守りたい気持ちから、おかっぱ頭をショートにするように薦め、彼女のお気に入りだった赤いパジャマも着れないように隠してしまいました。

人形と妹の共通点を排除した後、それは二度と起こらなくなったのです。

今思うとただの夢遊病の話ですが、子供の頃のほんのり怖い体験でした。

本当は妹というのは私なんです。

人形の記憶はありますが、夢遊病などの話は全然覚えていません。

姉は余程怖かったのか、今だに

「赤いの着て寝たらあかんよ」とか、

「髪の毛をもっと伸ばすか短くするか、どっちかにしな」と口煩く言います。

盆帰省した姉と話していると、この話題になったので投稿しました。

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