小学生になったばかりの頃の話。
学校の近くに沼を埋め立てて造った更地があって、放課後になると鉄条網の隙間から友達と潜り込んで遊んでた。
あの日。埋められた地面の一部が、底が抜けたように陥没して足首まで飲み込まれた。
俺はもがいて抜けだせたけど、そばにいた友達は既に膝を超えて飲み込まれていて、真っ青な顔色でこっちを見つめたままあっという間に沈んでいった。
大人を呼べばよかったのに自分は何か恐怖を感じて家まで走って帰った。
その後、友達が行方不明になったっていう事で大人たちが大騒ぎになったのを覚えていている。
実際に友達は見つからずにみんなを集めて先生が説明をした記憶がある。
今はその更地も区画整理もされ、場所がどこだったかもはっきりしないけど、工事の時に何かが見つかったって話は聞かない。
今もそのままなのだろうか。
今から30年ほど前の話なのに、たまにあの友人の顔がパッと頭に浮かび心臓がバクバクなる。