私は小学校に通う前、田舎の祖父母の家に住んでいました。
同い年の子供どころか、祖父母以外に人を滅多に見なかったので、暇で仕方がありませんでした。
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ある日、敷地内の蔵を探索することにしました。
蔵は老朽化していたのか、天井にはところどころ穴が空いていて、光が漏れ出していました。
すると蔵の一番奥の光の溜まり場に、小豆洗いに似た妖怪が居ました。
私より背が大分小さく(約 30 cm)、風貌は水木先生の描く小豆洗いです。
でも、小豆は洗っていません。
その小豆洗いから頭の中にメッセージが伝わって来て、自分のことを『ヒノジイ』と名乗りました。
ヒノジイは、精霊灯(せいれいとう)というランプのようなものを作っているとのことです。
不思議なことに、ヒノジイの喋る言葉は頭の中に文字として入って来ます。
文字ではなくテレパシー的なもので、説明がどうにも難しいです。
『精霊灯』という字も、小学校に入る前なのに読めた(感じた)のも不思議でした。
そのヒノジイは、山々の精霊の欠片を集め、山の命を繋いで行くと話していました。
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私は毎日ヒノジイと会っていたはずなのに、小学校へ上がる年になると、何故かすっかり忘れてしまいました。
更に奇妙なことには、両親も私が小学校に上がるまで、どうして祖父母に預けていたか分からないそうです。
今日、たまたま年賀状の話をしていて、祖父母の蔵とヒノジイのことを思い出しました。
今年は祖父母の家へ行く予定なので、蔵を確認して来ます。
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この投稿への返信:
私の地方では、憑かれやすい子供や視える子供を、一時的に田舎で過ごさせる習慣がありました。
何でも、都会よりも田舎の方が、悪い存在が居ないそうです。
大切な幼少期を平穏に乗り切れば、その後は普通に過ごせるようになるからだと聞きました。