私は神楽と名乗ることにする。これは私がかつて霊能者として「神楽斎」と名乗っていたからだ。過去には雑誌にも紹介されたことがあるので、知っている人もいるかもしれない。私には幼い頃から「霊感」があり、数多くの霊体験をしてきた。今日は、その中から一つ、幼い日の記憶を語りたい。
この話は、私がまだ幼稚園に入る前に住んでいた公団団地の近くで起きた。その団地にはいくつかの公園があり、私はその中でも一番端にある公園を好んでいた。そこは他の子供たちがあまり来ない静かな場所で、私のお気に入りの遊び場だった。
ある日、いつものようにその公園で遊んでいると、見知らぬ女の子がベンチに座っていた。彼女の名前はカナと言った。私たちはすぐに打ち解け、一緒に砂場で遊んだ。しかし、遊んでいるうちに暮れてきて、カナはまだ残ると言い、私は家へと帰った。
次の日、再び公園でカナと遊んだが、夕方になり母が買い物から戻ると、カナの姿は突如として消えていた。家に帰って母にカナのことを話したところ、母はただ頷いたが、その夜、私は原因不明の高熱に襲われた。
熱でうなされながら「カナちゃん…カナちゃん…」と呼び続けた。その時、両親は私の体の上に白い球体が浮かんでいるのを見たという。両親は必死に「神楽を連れて行かないで!」と叫んだ。
私には実は亡くなった姉がおり、「香奈」と名付けられていた。姉は死産で、その悲しみから立ち直った後に私が生まれた。翌日、私は熱も下がり、夢でカナが「お母さん、お父さん、産んでくれてありがとう。またお母さんのお父さんの子供になりたい」と言ったことを母に伝えた。母は感謝と後悔の涙を流し続けた。
後に知ったのは、私の熱が下がった日が姉の誕生日であり命日であったことだ。私は姉の守護を受けていたのだろう。そして翌年、私には妹が誕生した。彼女はどことなくカナに似ており、その笑顔はまるで再会したかのように感じられた。