昔、公園で友達とかくれんぼをした。
かなり広い公園で隠れるには困らないけど、問題は鬼になった時、ただでさえ広くて大変なのに友達4人とも隠れ上手。
鬼には絶対なりたくなかった。
ジャンケンに勝ちなんとか鬼を免れた僕は、ケンちゃんと一緒に公衆トイレの屋根の上に隠れた。
「皆どこに隠れたのかな」
「さあ、皆隠れるの上手いからな」
「でも、ター君は身体が大きいからショウ君達より先に見つかっちゃうかもね」
僕達は息を殺して、そこに隠れていた。
どの位たった頃だろうか。
ケンちゃんが
「トイレ行ってくる」
と小さな声で僕に言ってきた。
見つかるからと止めたけど、我慢出来なかったのかケンちゃんは下に降りて行ってしまった。
その時
「みーつけた」
と声が聞こえた。
どうやらケンちゃんが鬼に見つかってしまったらしい。
その日から鬼はケンちゃんの両親になった。
※
隠れているのは5人で、最後にはケンちゃんが誘拐された。次の日から両親がケンちゃんを探す“鬼”になった。