久しぶりに実家に帰ると、亡くなった母を思い出す。母は認知症だった。身の回りの世話をつきっきりでしていた父を困らせてばかりいた姿が目に浮かぶ。
そして今は亡き母の書斎に入った時、私が母にプレゼントしたカレンダーが見つからないことに気がついた。
何の気無しにテーブルを漁ると、ハサミでバラバラにされた幾つかのカレンダーの切れ端が順序良く並んでいる事に気がついた。母はどんなに呆けていても、私からのプレゼントは大切にしてくれていたのに……ショックではあった。
私は感傷とともに並べられた日付を整理した。
4/4 4/4 4/10 6/11 3/1 6/12 5/6 7/2 6/7 6/17 4/10 4/14 5/16
私は一枚だけ向きが逆になっている6/17に気づき、他の日付と同じ向きに変えていると、1階の父が私を呼んだ。
今日から五年振りの父の手料理が食べられる。感傷を胸に押し込み、私は母の書斎を後にした。
【謎の解説】
数字を元素記号の周期、属として置き換える。
4/4 4/4 4/10 6/11 3/1 6/12 5/6 7/2 6/7 6/17 4/10 4/14 5/16
Ti Ti Ni Au Na Hg Mo Ra Re At Ni Ge Te
6/17は逆さま(At → Ta)にしローマ字読みする。
→ 「ちちにあうなHgもられたにげて」 → 父に会うな Hg(水銀)盛られた逃げて