十数年前の「人事院月報」という、国のお堅い雑誌の読者欄に何故かあった話。
少し怖かったので今でも覚えています。大体下記のような内容でした。
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夏休み、一家でサイパンを訪れた。
深夜に家族揃ってホテルで寝ていたら、いきなり電話が掛かってきた。
寝ぼけ眼で受話器を取ると、男性の声で
「○○さんですか?」
と尋ねてきた。
「いいえ、違います…」
と応えると電話は切れたが、少し経った頃にまた電話が掛かってきた。
同じ人がまた、
「○さんは居ませんか?」
と言うので、
「違いますっ!」
と言って電話を切った。
全くこんな夜中に一体何事だ…と不愉快になった。
でも旦那も子供も電話には不思議と気付かず、すやすや寝ている。
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その時、ふとベッドサイドに気配を感じて振り向いた。
するとそこには兵隊姿の男性が立っていた。
それを見て気が動転し、声も出ない。
日本兵はじっとこちらの方を見つめ、テレパシーのように声は使わず心に直接語り掛けてきた。
「自分は……という者だ。○○さんを探している。どこに居るか知らないか?」
「いえ、知りません…」
と念ずるように伝えると、驚いたことにまた心に返してくる。
「○○さんが、自分を日本に帰してくれると約束してくれた。どうしても探したい」
私は震えながら、
「自分はその人を知らないし、申し訳ないが何も判らない」
と言った。
すると、
「どうしても日本に帰りたい。自分だけじゃなく、皆そうだ」
と言い、窓の外を見ると無数の日本兵の姿が…。
ここで「ぎゃぁー」と悲鳴を上げたら、それらの姿はさーっと消えた。
その叫び声で家族が目を覚ました。
やはり家族は電話のことなど何も気付いていないようだった。
※
翌朝ホテルに文句を言ったが、「そんなのよくある話だ」と取り合ってくれない。
帰国後、何かの手掛かりがあればと、日本兵の名前を調べてみたが詳しいことは判らなかった。
それにしても何故、それまで霊体験も一切無かった自分のところに出てきたのかは不明です。
皆さん、特にこれからの季節に南の島々で浮かれ遊ぶのは、亡き兵隊さん達のことを想い慎みましょう。