たぶん怖くないけど自分的には嫌だった話。
帰り道に、赤錆びて穴だらけのベニヤ張りの物置みたいな建物がある。周りに新築マンションが増えてるからかなり浮いた感じ。
で、ゆうべ遅くに帰ろうとしたら丁度その物置の所でコケてしまった。思わず手をついたら物置のベニヤを突き破って手首まで入ってしまい、壊したかと思って焦ったんだけど手が抜けない。抜こうとすると避けたベニヤが手首に刺さる。
擦り傷だらけだし痛いしよく見えないしってやってたら、全く人の気配のない向こうから突然手を触られた。
痴漢みたいな触り方で、その時は霊とかより正直貞操の危険を感じて尚更焦る。しかも向こうの手らしきものがどんどん汗ばんできて力も強くなってくる。ライターかざそうかと思ったけど穴から目でも見えたらと考えたら怖くて実行出来なかった……。
暫くしたら自転車の音がして、ビクッとしたら警官だった。
話しかけられたら向こうの手の感触がなくなって、落ち着いたせいもあるだろうけど自分の手も抜けた(怪しかったらしくこっちが職質された)。
ちなみにさっき改めて見たら私の開けたらしき穴はあって、でもどう見ても人が住んでる雰囲気じゃない。屋根も穴だらけだから雨漏りするだろうし……。そもそもどのお宅の物置なのか近所の人に聞いてみたら、隣の駐車場と同じ持ち主らしく今は別の所に住んでいるとのこと。
あの手はなんだったんだ……。
ホームレスでも入り込んでたのかな。あの手の主が生きていてもいなくてもなんだか怖い。