私の通っていた高校には、17時のサイレンが鳴ると共に、用務員の人が急いで校門を閉める習慣がありました。
まだ下校のチャイムすら鳴っていないのに正門を閉めるのです。
生徒はいつも裏口の狭い通用路の方から帰らなければならず、とても不便でした。
どうしてこんなことをしているのか先生に聞いてみても、確かな答えはくれません。
そこで部活の先輩に聞いてみたところ、言い伝えというか噂のようなものを話し始めました。
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この学校には昔、自殺した生徒が居たらしい。
自殺した場所は自分の家だったのだが、学校で虐めに遭っていたらしく、先生にもまともな対処をしてもらえなかったそうです。
それで命日になると復讐のため、その生徒が坂を上がって校門の前まで来るのだとか。
中に入られたら大ごとのため、今では校門を閉めるようになったそうです。
僕らはいつも裏口から下校する世代だったので見ていませんが、その生徒は女生徒で、乱れた長髪に凄い目をして坂を上って来るそうです。
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いかにも学校の噂という感じだったが、毎日校門が閉められている事実と、返事に詰まる先生達の様子を見ると変にリアリティがありました。
裏口でばったり会ったという生徒も居ましたから…。
その辺を17時のサイレンが鳴る頃にうろついているのだろうかと考えると、結構怖かったです。