去年、オーストラリアへ海外旅行に行った時の話。
私はケアンズの郊外の自然一杯の所をレンタカーで走っていた。その時、
『………あれ。ん? ここ、来たことあるよな』
と思ったんです。所謂デジャヴというものかな…と思いました。
『ああ、そこを曲がって車で20分ほど行くと海岸があって……』
と不意に思ったので曲がると、
『……あぁ、そうそう。ここのね。この店……』
どこかで見たことのある景色が広がりました。
そう言えば、オーストラリアの独特のロータリー方式の交差点は初めてなのだけれど、何だか凄く馴染んでいます。
『あぁ、ここ、この家。あら、隣……変わってるわぁ』
と昔懐かしい感覚に包まれたので、車から降りて彷徨いていると、家から白髪のおばあちゃんが出て来て、
「あっ!」
と二人とも声を上げました。
※
おばあちゃんはレイミーさんと言い、その名前も聞き覚えがある気がしました。
家に上げてもらい、そして飾ってある写真を見て更に驚きました。
レイミーさん謂わく、
「これは私のお母さんの若い頃」
外人さんなのだけれど、私そっくりの人が白黒写真に写っています。
※
レイミーさんは私を二階に誘い、自分の母が昔使っていたというミシンのある部屋を見せてくれました。
私は、
『あ、そうだ……あなたに、あげようと思って忘れていた……』
と思い、ミシン台の横の引き出しを開け、蓋の裏の封筒を取り出しました。
中には、古ぼけた小切手が一枚。
私は本当にここに居たんだな……と実感出来ました。
現在もレイミーさんとは頻繁に文通をしています。