俺がまだ小学生の頃、ある日の道徳の授業の時のこと。
先生が学生時代の頃に「こっくりさん」が流行っていて、その時にクラスの女子が取り憑かれ、みんなでお祓いに連れて行ったという話があった。
幽霊など信じない俺は『女子はそんなん好きだよな』くらいに思い、その授業を聞いていた。
若い女の先生なのだけど、自分の卒業式の時の話を泣きながら話し始めた。
以下、先生が話した内容。
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卒業式が終わった後、仲の良い友達数人で、屋上で写真を撮ろうという話になった。
友達の一人が、
「私、ジャンプするから跳んでるところを撮って!」
と言ったらしい。
先生と友人二人が写真に映り、一人が撮影する流れになった。
「はい、チーズ」
写真を撮り終え、次は撮影役を交代しようとしたら、
「あれ? 〇〇ちゃんは?」
跳んでいるところを撮って欲しいと言っていた友達が居ない。
次の瞬間、校庭から悲鳴。
その友達は校庭で変わり果てた姿になっており、死因は事故死ということになった。
※
暫く経ったある日、先生はあることに気が付いた。
『あれ? 卒業式に屋上で撮った写真だけ無い…』
先生はそのことを友達に話したらしい。
事故死となった友達だが、みんなが疑問に思いながらも口にしなかったことがある。
友達がジャンプして写真撮影をしてから、校庭で悲鳴が上がるまでほんの数秒。
ジャンプしてそのまま校庭に落ちたという感じなのだけど、写真撮影した場所から屋上の端までは数メートル離れている。
しかも助走を付けて跳んでも跳べない高さのブロックを越えて落ちたことになる。
その写真だけが無いことがどうしても疑問で仕方無かった先生と友達は、現像に出した写真店へ行くことにした。
※
先生と友達は、写真店の主人に撮影した写真が一枚足りないと話した。
すると店の主人は、
「あー、〇月〇日のやつかー」
と言って調べてくれた。
暫くして、
「撮れてなかったね。真っ暗だったよ」
と言った。
みんなが哀しそうな顔をして涙を浮かべていると、主人が
「何かあったの?」
と聞いてきた。
事情を主人に伝えると、困った顔で言った。
「あまり酷い写真は、お客さんに渡さないことにしているんだ。でも、どうしても見たいと言うなら…」
と言って写真を渡してくれた。
リアルに映った沢山の手が、ジャンプした友達を掴んでいた…。
※
この写真を道徳の時間に先生から見せてもらい、凄く怖かったのを覚えている。
まあ、その後は幽霊やこっくりさんなどで絶対遊ぶなという話になった。
凄まじい写真だったのは覚えているが、今となっては記憶が曖昧だ。
今だに幽霊は信じていないけどね。