10年程前の話です
姉が「ビデオを返してくる」と言って家を出て行ったのは夕方の6時半ごろでした。
季節は冬の始まりぐらいで、もう大分暗くなってきていました。
それから10分程経ったでしょうか。いきなり玄関の方で誰かが乱暴に扉を開けて入ってきました。
入ってきた人は号泣しています。急いで行ってみると、姉が顔面血まみれになって泣いていました。
取り敢えず家に上げて血を拭いてやりました。
医者である父が傷を見て「血は出てるがたいした傷じゃない」というのを聞いて一安心し、ようやく落ち着いてきた姉に何があったのか聞いてみました。
姉が家を出てレンタルビデオ屋に行く街灯も殆ど無く人通りも少なく舗装もされてない道をしばらく進むと、道の真ん中に何かを見つけたそうです。
よくよく見てみると…。
それはこっちに背を向けてうずくまっている人で、どうやら中年の女の人だったそうです。
辺りには誰もおらず、道の真ん中でうずくまっているその人は何か奇妙な感じがしたそうなのですが、姉は一応自転車を降りてその人に「どうかしたんですか?」と話しかけたそうです。
すると、そのおばさんはいきなりすくっと立ち上がり、こちらを振り返るやいなやゲラゲラ笑いながら石を投げてきたそうなのです。
その内の一個が姉の顔にあたり血が出てきたそうです。
姉は驚愕しつつも「殺される!」と思い、その場からダッシュで逃げたそうですが、おばさんはしばらく笑いながら追っかけてきたそうです。
僕はその後自転車回収もかねて現場の偵察に行ったのですが自転車があるだけで、その辺りにはもう誰もいなかったですが道路には血の跡がありました。
今でも忘れられないです。