『FF III』のプログラマーで知られるナーシャ・ジベリは、Apple II時代から「天才プログラマー」と呼ばれていた。
『FF I』の開発にあたり石井浩一は「飛空船に影をつけて浮いているように見せたい」と坂口に提案したが、坂口は「そんなの無理だ」と述べた。
しかし、石井が後日ナーシャに相談したところ、その翌日には飛空船に影がついている上に4倍速移動を実現させ、スタッフを驚かせる。
『FF III』は、オリジナル版発売の後、リメイク版の製作が何度か発表されるもののなかなか実現せず、何度か企画自体の仕切り直しを重ねた。実際にリリースされたのは2000年頃の発表から実に6年が経過した2006年のことである。
このようにリメイク版の製作が難航した理由のひとつとして、ナーシャがファミコンの限界を超えてプログラムをしていたため、ハードに相応のスペックが求められていたことが挙げられている。
『FF III』の開発において重大なバグが発生し、ナーシャに指示を仰いだところ、修正すべき部分のプログラムコードを電話越しに語り、電話を受けた田中弘道などの開発スタッフを驚かせた。
坂口博信も同じようなエピソードに触れており、ナーシャがビザの都合で帰国した際に国際電話でバグの症状を相談したところ、電話口でナーシャの指示通りにプログラムを修正したところバグが治ったという。ナーシャはプログラムリストをすべて暗記していた、とのことである。
技術的特徴では『ファイナルファンタジー』での飛空艇の超高速スクロールや、『とびだせ大作戦』の3Dスクロールのほか、初期FFシリーズの高速な戦闘アニメーションや『聖剣伝説2』のリングコマンドがある。
ゲームの中に遊びを入れることもある。
『ファイナルファンタジー』の隠しゲーム、15パズルはナーシャが勝手に作ったプログラムを隠し要素として入れたものである。
『とびだせ大作戦』にはディスクシステムのゲームでは珍しいコピープロテクトが施してあり、コピー版であることを認識すると “NASIR”の署名が入ったメッセージが表示されて起動できないようになっていた。