中学生だった私は、ある晩、塾を終えて家路についていました。星空を眺めながら、のんびりと自転車を漕いでいたのです。
時刻は22時を過ぎており、家ももうすぐというときでした。
そのとき、前方に別の自転車を漕ぐ人の後ろ姿が見えました。細い道だったため、追い抜くことができずに、その後ろを走っていました。
突然、その自転車が倒れるのを見てしまいました。近づいてみると、髪の長い女性が倒れていて、うずくまって呻いていました。
私は声をかけましたが、返事はなく、暗い道での出来事に怖くなり、家に急いで帰ってしまいました。
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後日、警察の刑事が家に訪れました。彼らによると、近所で殺人未遂事件が発生しており、その聞き込みのために訪れたのでした。
犯人の特徴を尋ねられると、髪の長い女性とのことでした。私が先日遭遇した自転車の女性のことを話すと、刑事の表情は一変しました。
私がその晩の出来事を詳しく伝えると、刑事は事件の詳細を明かしてくれました。
どうやら私が遭遇した状況と非常に似ていたのです。あの時、もし手を貸していたら、私はどうなっていただろうかと思うと、背筋が凍るような恐怖を感じました。
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その女性は実は、地元で有名な精神的に不安定な人物で、過去にも何度か不審な行動を起こしていたことが判明しました。
警察の調査で、彼女はその晩、何者かに追い詰められていたことが明らかになりました。
事件の真相は謎に包まれたままで、地域には不安が広がりました。
この出来事以来、私は暗い夜道を一人で歩くことが怖くなり、常に警戒するようになりました。