サイトアイコン 怖い話や不思議な体験、異世界に行った話まとめ – ミステリー

廃墟でサバゲー

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夏の終わりの頃の話。

その日は会社の夏休み最終日ということもあり、仲の良い8人を集め地元の廃墟でサバゲーをすることにしたんだ。

午前中に集まって、とことんゲームをしようと決めていたんだが、Yという奴が「午後からが良い」と言うので、みんなで午後に集まって行く事にしたんだ。

みんなで午後14時くらいに集まって、着いたのが14時半くらいだったんだ。

それでみんな準備を済ませ、取り敢えず様子を見に全員で中に入ったのさ。

みんなで「なかなかいいねぇ」とか言いながら中を探って行ったんだ。

この廃墟は二年くらい前は何かの研究所みたいなものだったらしく、至るところが理科室のような雰囲気だった。

意外と広くて三階ぐらいまであったんだが、最上階の一番隅のところに、音楽室の扉みたいな重くて厚そうな扉があったんだ。

みんな少し興奮気味だったこともあってか扉を開けようとしたけど、誰がやっても開かない。

全員でやっても開かないというので、諦めて表の荷物が置いてあるところまで戻り、チームを決めて早速ゲームしようってことになったんだ。

昼間のうちのゲームは結構蒸していて、アンチフォグを付けたゴーグルも役に立たないくらいだったんだが、さすがに夏も終わりということもあって夕方19時くらいになると大分涼しくなってきた。

随分やりやすくなってきたんだが、さすがにぶっ続けでやると疲れてきたので、ゲームが終わった頃に俺がもうやめようと提案したんだが、見事に全員に反対された。

しかし、みんな疲れたらしく晩飯を食ったら最後の一回をやろうという事になったんだ。

そしてコンビニで晩飯を買い、荷物のところでみんなで食っていたんだが、やはりみんな疲れているみたいで、飯を食った後21時くらいまで誰も動こうとしなかったんだ。

だがそれでは埒が明かないということで、最後のチーム決めをして、裏側と表側に分かれてゲームを始めたんだ。

夏でもさすがに21時だと暗くて、ライトを使ってゲームをしていたんだ。

まあ、みんな最後のゲームということもあって、フル装備の気合満々でどんどん部屋を攻略して行ったんだ。

それで二階に向かおうと階段を上っていた時、後ろから「うあぁ!!」という叫び声と同時に、階段から誰か転げ落ちる音が聞こえてきた。

振り返ったらYが見事に階段を落ちたらしく、踊り場で足を抱えながら転がっていた。

Yはいつも私服ゲーマーなのであまりブーツを履く習慣がなく、その時もスニーカーでやっていたんだが、それが裏目に出たようで足が良くない方向に曲がっていた。

俺達は焦ったが、一応骨折のようなので、ハンドガンとバンダナで固定し、Yを落ち着かせた。

そして次にOという仲間に無線の非常用周波で呼びかけたんだが通じない…。

全員で試したが誰も通じない。

ノイズが入っているとかそういうのじゃなくて、本当に電池が入っていないような感じになっていた。

仕方がないのでその場で待機していると、どこからともなく音が聞こえてきた。

「グシャッグシャッ」という音。長靴の中に水を入れて歩くような音。

最初は向こうが来たのかと思ってみんな安堵していたが、どうも様子が違うんだ。何と言うか足取りの重そうな感じがしたんだ。

それでみんなで顔を見合わせて、知らない他人だったらまずいのでみんなライトを消し、息を殺して固まっていた。

それから一分くらい経ったけど、段々音が近づいて来るだけで、逆に恐怖心が湧いてきたんだ。

そしたらいきなり、建物の奥から「ぎゃぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!」という凄い叫び声が響いてきて、同時に走る音が聞こえたんだ。

もう恐怖心が半端じゃなかった俺たちは、その声に驚いて「やばいんじゃね?」的な感じになり、逃げようということになった。

幸い足音は階上から聞こえてきていて、俺は銃を置いたままYを背負って走り、表に向かった。

他の仲間は全力で走っているようで、Yを担いでいる俺はどんどん離れて行った。

「早くしろ!!」とか耳元で叫ぶYの声が聞こえなくなるくらい全力で走った。

表に辿り着いた頃には、二人はもう荷物を適当に詰め込んで逃げる準備をしていた。

そしたらいきなり携帯に電話がきて、出たら向かいチームのSだった。

「お前らいまどこにいるんだよ!」と完全にパニクッた感じの声だった。

「表にいる」と答えたら、

「荷物持って国道まで出てこい!」と言われ、全員分の荷物を持ち国道に出たんだ。

その後、向こうの四人と合流し、落ち着いて話をしたんだ。そしたら…、

・何かが三階の隅の部屋にいた

・色んなところから足音が聞こえてきてパニックになった

・するといきなり、扉が開いたのでビビって逃げてきた

ということらしい。

俺たちも足音について話したが、四人は同じ足音だと答えた。

その後はYを病院に送り、未婚の奴は一人でいるのが怖いので、俺の家で一晩を過ごした。

翌日から会社だったので仕事に行ったが、Sが会社に来ていなかった。

Sの嫁さんに聞いたが、昨晩から部屋から出てこないらしい。

数ヵ月後、Yが退院した頃にSは死んだ。

自殺だった。理由はよく判らないが、仲間内ではあの一件が原因だったとされている。

その後、この話は無かったことになっている。ちなみに置いて行った銃もそのままである。

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