サイトアイコン 怖い話や不思議な体験、異世界に行った話まとめ – ミステリー

道の駅

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自分が2005年に旅をしていた時、実際に体験した話。

当時、私は大学生で授業をさぼって自転車で日本縦断の旅の真っ最中。もちろん一人旅だ。

その日は朝から雨で、秋田から山形に向かう道中もずっと雨だった。

13号線をひたすら南下していたのだが、雨足が強くその日は移動距離も稼げず、寝る所も決めていないまま深夜0時になっても私は走り続けていた。

流石に0時過ぎともなると翌日の移動距離にも響くので、道中のコンビニで近くの道の駅の場所を聞き、そこへ向かった。

そして深夜1時を過ぎた頃、その道の駅に到着した。

雨は未だに降り続けており、駐車場にテントを張って寝る事は無理そうだ。

小屋の前の屋根下にもベンチが設けられているが、横からの雨で濡れてしまうからこれもパス。

秋田なんかの道の駅を利用した事がある人は分ると思うが、中部地方の道の駅とは違う点がある。

売店等が何も入っていない小屋、というかドライバーが休憩するためのスペースが設けられている事が多い。

その道の駅にもそのスペースはあり、扉を開け中に入ると木で作られた長机と長椅子が幾つもあり、長距離トラックの運ちゃんが一人飯を食べているだけだった。

やがてトラックの運ちゃんもコンビニ弁当を平らげると、自分を一瞥し出て行ってしまい、小屋には自分以外の人間はいなくなった。

小屋の中には自分一人、駐車場に2~3台車が停まっているが、他は車の中で寝てるようだ。

なので本日は有り難くそこで寝かせてもらう事にした。

ちなみに辺りは山間部で、道の駅周辺は田んぼ、反対側は山、街灯も少ない。

その小屋は入り口が二つあり、両方とも鍵はかかっていない状態で、普通に何時でも誰でも出入りできる小屋だった。

寝る前にトイレへ行き、小屋の中に張られていたその地域の昔話等を少し見た後、正面側の入り口手前の長椅子の上に寝袋を用意し、旅のお供のMDウォークマンを中に入れて横になった。

しばらく横になったままでいると、急に室内の電気が消え真っ暗になった。

急に真っ暗になったのにビックリして飛び起きると、すぐに電気が点いた。

どうやら一晩中電気が点きっ放しなのではなく、人が中に居て動いていると明かりが点き、人が出て行ったり部屋の中に動きがないと明かりが消えるシステムのようだ。

その道の駅自体新しいのか小屋も綺麗だったので、『こんなにいい道の駅もあるんだ』と感心した。

寝てしばらくするとまた電気が消えて辺りは真っ暗になり、外の街灯の明かりがほのかに室内を照らす程度になった。

椅子の硬さが若干辛いが『これで眠れる』と思った時、部屋の反対側で「キュッキュッキュッ…」という靴音が聞こえた。

靴底が濡れた状態で体育館の床を歩いた時のような音だ。

その瞬間 『誰か入って来た!?』と思い飛び起き、辺りを見回したが誰も居ない。両方の扉も閉まっている。

何より扉を開けたら音がするから気付くはずだ。

おかしいなとは思いつつも、誰も居ないのでまた横になる。

しばらくしてまた明かりが消える。

するとしばらくしてまた部屋の隅で「キュッキュッキュッ」という足音がし始める…。

そこで気付いてしまったのだが、一度目に明かりが消えた時、自分はビックリして起き上がったので、部屋の明かりはその動きに反応してしっかり点灯した。

二度目も誰かが入って来たと思い起き上がった。

それだけで明かりは点灯した…。

それでは、今部屋の反対側で動き回っているこの足音…何故これにセンサーは反応しない?

これだけ激しく動き回っていたのなら明かりは点くはずだ。

現に自分がこの小屋に入ってから部屋の中をうろうろしている時は、明かりが消えるなんて事はなかった。

部屋の明かりは消えたままだ。目を開けて部屋の暗さを確認している。

だが未だに音は部屋の隅で鳴り続けている。

『これは…もしや…出た?』

そう思った瞬間、足音は一瞬ピタッと止み…次の瞬間どんどん速さを増し自分の方に近づいて来た。

『うわ!やっぱりそうかよ!!』

そう思った時には足音は自分の長椅子まで一気に詰め寄り、その後長椅子の周りを足音がかなりの速さでぐるぐる周り続け、次第に取り囲まれてしまった。

「キュッキュッキュッキュッキュッキュッキュ………」

音はずっと自分の周りで鳴っている。

長椅子の前には当然長机があり、人が素早くそこを通れるスペースなんてものはない。

何よりこの音が自分の間近に来るまで、自分は目を開いていた。

人の嫌がらせや野生の動物の仕業なら、これだけの速さで動き回っていると息遣い等の反応を感じられるほどの至近距離だ。

だが何も感じない。明かりも点かない…。

直感的に、これは目を開いたらやられると思い、目をひたすら瞑っていた。

だが一向に音の気配は去る気配はない。

『これはもうしょうがない…』

決心した私は、目を瞑ったままMDウォークマンを寝袋の中で用意し、素早く装着して音量を最大にした。

無視する事を決意したのである。

ただ、音楽越しに足音は鳴り続けていたが…内心『勘弁してください!!俺には何も出来ません!!』と思いながら、音楽に集中しようとしていた。

しばらくすると旅の疲れからかいつの間にか寝てしまい、朝の日差しで目が覚めた。

寝袋から這い出し、昨日の現象を思い出して自分の周りや体を調べるも、特に異常はなかった。

気味が悪かったのでそそくさと寝袋をしまい、その道の駅を離れた。

その後なんとか無事に旅を続け、日本中を周り続けたが、それ以降は特に不思議な現象はなかった。

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