公園で友達と喋っていて、小便がしたくなったから、ちょっと離れた公園内のトイレに行った。
『何やら線香くさいなぁ…』と思いながら用を足してトイレから出たら、上下スウェットで髪はぼさぼさの、若いのかおばさんなのかよく分からない女が、水飲み場の台の上に赤ちゃんの人形を置いて、その口に線香を挿して焚いていた。
人形は紙粘土か何かでドロドロになっていて、宇宙人みたいに見えた。
死ぬほどビックリしたが、周りの事なんて気にしない様子だったので、俺は回り道をして戻ろうとした。
すると、その女が
「あの……、あの子にお線香を上げてやってくれませんか…?」
俺はなぜか動けなくなり、顔だけ女の方を向けたまま固まってしまった。
黙っていると女が、体勢を低くして、両手を前に出しこっちへ向かって歩いてきた。
俺は必死で逃げた。
友人の所へ戻り、事情を説明しながら大通りまで疾走した。
次の日の朝、その公園へ行くと、無数の線香と線香の燃え滓が落ちていた。