20年くらい前、高校生の時一人で留守番をしていたら、インターホンが鳴った。
出てみると、乞食みたいなのが立っていて「この家には死神がついている」と言い残して立ち去っていった。
それからしばらくして、父親が交通事故、母親が胃ガン、弟は野球部の練習で打球を左目に受け失明寸前、妹は中学でいじめられて不登校になり、祖父のボケがひどくなるなど、死人こそ出なかったが、家中めちゃくちゃだった。
乞食のことは誰にも喋ってなかったのだが、言ってることがあたったのではと内心おびえていた。
次は俺の番かと思っていたが、何事もなく20年が過ぎた。
今年の正月に実家に帰った時、父親と酒を呑みながらその話をしたら、遠くを見るような目で「それは本物の疫病神だったのかもしれんな」と呟いていた。