ある日、大学生のカップルが山へドライブに行きました。
夕方になり、辺りが薄暗くなった頃に帰ろうとしたのですが、道を間違えたのか、行きでは通らなかった古びたトンネルに行き着いてしまいました。
辺りは暗く、少し気味が悪かったのですが、一本道なのでそこを通るしかありません。
仕方なくトンネルに入ると…、
「バン」
と後ろの窓を叩かれたような衝撃がありました。
びっくりして彼女が後ろを振り向きましたが、何もありませんでした。
後続の車もありません。早く抜け出そうとそのまま走っていると…、
「バン、バン」
「バン、バン、バン」
「バンバン、バン、バン、バンバン」
至る所から車が叩かれ始めました。
恐ろしくなった二人は、とにかく急いでトンネルを抜けようと、猛スピードで車を走らせました。
早く人の居る所へ行きたいと必死に車を走らせ、二人はようやく山の麓のガソリンスタンドに辿り着きました。
明るい電気の下で窓ガラスを見ると、大小様々な手形がびっしりと付いていました。
店員さんに拭き掃除を頼み、すぐに掃除を始める店員を無意識に眺めながら、車内で呆然とする二人。
暫くして店員が首を傾げながら運転席の横までやって来て、コンコンと窓を叩きました。
何だろうと思いながら窓を開け、話を聞いて二人は凍り付きました。
「この手形、中から付いてますよ」